2013年7月26日金曜日

ブログ書評第9回 『「時間」を哲学する』

こんにちは。代表のスズキです。

7月20日に行われました「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」ですが、
予想以上の参加者数にビックリ!
運営に協力してくださった皆様、ご観戦・参戦してくださった皆様、どうもありがとうございました。
 

さて、今回紹介する本は、
『「時間」を哲学する』(中島義道、講談社現代新書、1996年) です。













人生が「アッという間に過ぎる」あの感覚は何に由来するのか、
真夏にストーブの前で座る1分間が1時間にも感じられるのは何故か、
過去の記憶や夢はどこへ行ってしまったのか、等々
時間についての疑問は、誰もが一度は持ったことだろうと思います。

本書では、夢と人生の不思議に触れながら、人生の短さとは、時間の速さとは何かを考察しつつ、
そこに度々現れる「過去」の在り処が提示されます。
「過去はどこへ行ったのか」という問いを精査し過去の正体に踏み込み、その後で、未来や現在へと思考を移していきます。

ただ、今回私が共感を覚え薦めたいと思ったのは、単に「時間論の紹介」やその議論の巧みさによりも
当たり前過ぎることに真っ向から考え抜くという態度を見せつけられたところにあります。

世の中には、当たり前過ぎて人がほぼ目も向けないような事柄がありますが、その中に
人に災厄をもたらすものが含まれていたらどうでしょうか。良からぬことがあっても、その原因に
目も向けられず、不幸を被り続けてしまう…
そんな時に、当然過ぎることにも目を向けるような習慣と実践が必要なのではないか。
そのことに気付かせてくれる点でも、本書の価値はあると思います。

難解な部分もあるかとは思います(実は私も、あまり分かってない!)が、極端な文体ではなく、
読みやすさも保たれています。ぜひ、読んでみてください。

2013年7月19日金曜日

「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」まであと1日!!!

いよいよ明日に迫りました、「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」!
午後4時から、丸善松本店地下一階イベントスペースで開催します。
入場無料・ご予約不要・お一人でもグループでも観戦大歓迎ですので、お気軽に来て下さいね。



天気が心配だったのですが、どうやら晴れで、暑くなりそうです。
ちょっとした夕涼みに、万一夕立が来たら雨宿りに・・・ということで観戦にいらしても大丈夫です。
5人のバトラーの素敵な本の紹介を楽しんでいって下さい。

「ビブリオバトルって結局どんなことするの?」という人もいらっしゃるでしょうから、
今日は一日前ということで、ビブリオバトルのルールを確認しておきましょう。

1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる.

2.順番に一人5分間で本を紹介する.

3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う.

4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い,最多票を集めたものを『チャンプ本』とする.

これがルールです。簡単ですよね。
(補足説明はビブリオバトル公式サイトをご覧ください。)

今回は既に出場者(バトラー)5名は決まっておりますので、
バトラーのプレゼン5分間→観客の皆様からバトラーへの質問タイム2分間を
5人が順番に行います。
(どんな本が紹介されるかは当日その場までの楽しみ♪)

質問はその場にいるどなたがしてもOK。ただ、本やプレゼンターへの批判は無しにして下さいね。
楽しませたり、和ませたりする質問は大歓迎です!

最後は投票です。
その場にいらっしゃる皆様全て一人一票で、どれが一番読みたくなったかで『チャンプ本』つまり「本のチャンピオン」を決定します!
「バトル」というと優劣をつけると思いがちですが、ビブリオバトルは人の優劣や本の優劣を付けるものではないので、誤解されないで下さいね。あくまで、ゲームとして楽しむための仕掛けですから。
投票や「チャンプ本」の意図は、公式サイトや谷口さんの著書『ビブリオバトル』を是非ご覧ください。

これだけのルールで、その場の雰囲気によって様々な楽しさが味わえるビブリオバトル。
文字だけでは伝えきれませんが、一度来ていただければきっと楽しさがわかっていただけると思います。

それではいよいよ明日午後4時、丸善松本店地下一階イベントスペースでお待ちしております!

ブログ書評第8回『「みんなの意見」は案外正しい』

こんにちは!顧問の荒戸です。
ブログ書評もサークル員7名が一周りして、2周めに入りました。
明日はビブリオバトル@丸善松本店with信州大学ですが、ブログ書評もいつもどおり更新していきます!

今日紹介するのは・・・
ジェームズ・スロウィツキー『「みんなの意見」は案外正しい』(角川文庫)です!


皆さんは、自分ではよくわからない問題を解決しなければならないとき、どのように自分の行動を決めるでしょうか?

家族に相談?ネットで調べる?会議で決める?先生や専門家に従う?
いろいろ決め方はありそうですね。

この本は、「多様な属性から集めた多くの人(みんな)の意見を総合すると、一人の専門家の意見より正しいことが多いよ。」というメッセージを込めた本です。

知識や経験が多くあって、ずっとそのことを考え続けている専門家より、素人の意見を多く集めた方が正しい予測ができるなんて、なんだか不思議ですね。でも、実はそのような例というのは世の中に非常にいっぱいあるのです。この本にも、その例がいっぱい述べられています。

実はこの考え、結構昔からあったのですが、情報技術やインターネットが発達して「ビッグデータ」という言葉もよく聞かれるほどに、「みんなの意見」を集めるためのコストは急速に下がったこともあり、大変注目されています。
社会全体に影響を与える決定が、少数の人達だけでなく、「みんなの意見」によって決めたほうがうまくいくのだとすると、とても夢のある話だと思います。もしかすると近い将来、そのような社会になるかもしれませんね。

ただちょっと待って下さい。この本の題名は、『「みんなの意見」は案外正しい』です。
つまり、そううまくいかないこともある。どんな時にうまくいかないか、なぜうまくいかないか、そんな例も、この本にはいくつか載っています。

何にでも使える最高の決め方なんて、この世には無いのかもしれませんね。
どういう時に、どんな方法で決めたら良いか、それも、私たちの決めなければいけないことですし。
でも、その決め方の選択肢の一つに「みんなの意見で決める」というものも結構うまくいく可能性があるということを知ることができるだけでも、この本は読む価値があると思います。

ビブリオバトルも、一人一票、チャンプ本をみんなで決めるゲームです。
これが、偉い人の独断で決まってしまったら、きっとゲームもつまらなくなってしまいます。

「決め方」をどうやって決めるか。そんな頭の痛そうな問題のヒントにもなるこの本、楽しく読めると思いますので、皆さんもぜひ読んでみて下さい!

2013年7月18日木曜日

「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」まで残り2日!!

あっという間に、あと2日となりました!
「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」、準備も着々と進んで、私たちもワクワクしております。

一昨日、昨日と、ビブリオバトルの紹介を兼ねてブログを書いてきましたが、今日は、書籍を2冊紹介したいと思います。これを読めばビブリオバトルが分かる!

1冊めは、考案者の谷口忠大さん著、その名もズバリ『ビブリオバトル』(文春新書)です!
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166609017
「本を知り人を知る書評ゲーム」という副題のとおり、ビブリオバトルで人がつながることについて、谷口さんの思いが綴られています。

もう一冊は、ビブリオバトル普及委員会編著、『ビブリオバトル入門』(INFOSTA)です。
http://www.infosta.or.jp/publish/bookannai/biblio_battle.html
「ビブリオバトル普及委員会」という、ビブリオバトルを広めるための全国組織の皆さんによる一冊。
歴史やコツ、全国の個性的な取り組みなどが書かれていて、読めば自分でも開催できるようになれるかも。

ぜひ書店で手にとってみて下さい!

また、ビブリオバトルは動画も数多く配信されているので、
雰囲気を味わいたい方はyoutubeで「ビブリオバトル」と検索してみて下さい!

本や動画で興味を持ってから実際のビブリオバトルを見ていただくと、
より生ならではのスリルやライブ感を楽しんでいただけると思います。
そんなナマのバトルが松本で楽しめる「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」は
明後日7/20(土)午後4時から、丸善松本店地下一階イベントスペースにてスタートです。

夕方のまだまだ暑い時間帯、涼みがてらに熱いバトルの観戦に皆様是非お越しください!


2013年7月17日水曜日

「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」まであと3日!


いよいよ開催まであと3日となりました。
7/20(土)午後4時からの「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」、皆様のスケジュール帳にはもうご記入頂いてますでしょうか!

実は、ビブリオバトルは本を紹介する人だけでは成立しません。観戦・質問・投票する方と一緒に作り上げる「本を通じたコミュニケーションの場」なのです。
とはいえ、難しいことはありませんので、お気軽にお越しくださいね。


今日は、ビブリオバトルを象徴する一つの言葉を紹介します。それは、

「人を通して本を知る、本を通して人を知る」


です。

ビブリオバトルに出場したり観戦したりすると、自分が今まで手に取ろうと思っていなかった本がいきいきと紹介されていて、とても読んでみたい気持ちになることがあります。
これが「人を通して本を知る」です。いままで読んだことのないジャンルは、なかなか1人ではいい本を見つけにくいですよね。ビブリオバトルを観戦にいらして、未知の領域に踏み出す最初の一冊を見つけてみませんか?

そして、「本を通して人を知る」。ビブリオバトルでは、本を知ることはもちろん、その本の紹介をとおして、その人自身をより深く知ることができるのです。

意外な本を読んでいたり。
普段寡黙な人が語りだすと止まらなくなったり。
初めて会ったのに趣味が合うことが分かったり。

肩書きや年齢を超えて、素敵な本や人との出会いがあるかもしれません。

「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」も、多くの人にお越しいただき、本を通じた人のつながりが生まれる場になればよいなあと考えております。

7/20(土)午後4時、丸善松本店地下1階イベントスペースにて開催します。
席数に限りがありますので、お早めにお越しください!

2013年7月16日火曜日

「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」開催まであと4日!

今週の土曜日、7月20日に丸善松本店にて開催される「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」まで一週間を切り、あと4日となりました。

今回は信州大学から学生・教員各1名と、市民の方々3名の計5名のバトラーが集結しました。
大変楽しみなバトルが展開されるのは間違いありません!

今日から開催前日までは、ビブリオバトルの紹介も兼ねて毎日更新します。

「ビブリオバトルって何?」という方、そんな方にはまずビブリオバトル公式サイト
http://www.bibliobattle.jp/
がオススメです!
ビブリオバトルのルール・歴史・ニュースが満載です。
ぜひご覧ください!

公式サイトで興味を持たれた方は、是非「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」で生のビブリオバトルをお楽しみ下さい。

「ビブリオバトル@丸善松本店with信州大学」は、7月20日(土)16:00から、丸善松本店地下一階イベントスペースにてスタートします。
入場無料・ご予約不要です。
席数に限りがございますので、当日はお早めにお越しください!


2013年7月13日土曜日

ブログ書評第7回『勝ち続ける意志力』

皆さんはじめまして、ビブリオバトル信州のひろおかです。
これからもこの書評は週一更新(予定)のリレー形式で続けて参ります。もし、よろしければメンバーそれぞれ個性あふれる書評を続けていきたいと思いますのでご覧いただけたら幸いであります。

さて、今回自分が紹介したい本は梅原大吾さんの「勝ち続ける意志力」という本であります。著者である梅原大吾さんは“プロゲーマー”という摩訶不思議にも思える職業をしてらっしゃる方であります。ゲームと聞くと興味のない方には子どもの遊び道具のように思えるかもしれません。そして、そんなものを生業にするなんて…と思うかもしれません。しかし、「それが間違いであった」とこの本を読んでいただけたらきっと思っていただけるはずです。

この本は、前半に梅原さんのプロゲーマーになるまでを述べた自伝的部分と後半に現在プロゲーマーとしてもっとも活躍している彼のゲーム(仕事)との向き合い方について述べた自己啓発部分という2つの要素からなります。

最初に生い立ちを記した自伝のところでは、なぜ彼がプロゲーマーという職業を目指したかが語られます。「どんだけ幼い頃から達観してたんだよ!」というぐらいに思考が現代に生きる職人そのものです。そして、世間からの逆風や幾多の挫折の中で一度ゲームをすっぱり辞めて、自分取り巻く環境を変えてみるも、やはり自分にはゲームしか無いと意を決し、もう一度、ゲームの世界に帰っていく姿が記されています。
プロになってからの自己啓発的部分では、ゲームという極めて特殊なジャンルで培われたものだから、普遍的であるとは断言できない。それでも、ここまでの生涯通じて追求し続けたことで学び、実践して得た勝ち続ける力は、紛れもなく「本物」であると自負できる。と述べていて、ゲームという明確に勝敗が決まるものだからこそ、努力の仕方、ライフサイクルの作り方などが勝ち続けられるようにわかりやすく述べられています。


かつて、ソニーのお荷物だったゲーム開発部門が今ではソニーという企業を支えるようになり、Wiiで健康管理を行ったりできるような時代に変わりました。ゲーム自体もゲーム業界もそしてプレイヤー達も変わっていく中で生まれたThe beastことプロゲーマー梅原大吾の変わらない熱い魂を、勝ち続ける意志力を、ゲームなんて…と思っているあなたに手にとって感じていただきたく今回紹介させて頂きました。
余談ですが、自分はこの本でビブリオバトルに出て負けました(小声)…
この本でも紹介されている排水の逆転劇の動画URLはこちら 観客のテンションがすごい!!
https://www.youtube.com/watch?v=XeM0rH_4ung

2013年7月4日木曜日

ブログ書評第6回『裏切りの特急サンダーバード』

初めまして!ビブリオ信州のKです。1年も半分が過ぎたという現実が信じられず、さらには期末試験が今月から始まることも信じられません…。…勉強します。はい。

さて、今回紹介させていただく本は、新潮文庫から出ている「裏切りの特急サンダーバード」という推理小説です。著者は十津川警部シリーズでおなじみ、西村京太郎さんです。

舞台となるのは、北陸本線を走る特急「サンダーバード」。犯行グループがこの特急をジャックし、身代金を要求する…
とまあ、推理小説にはよくある展開のように感じるのですが、そうはいかないあたりがなかなか面白いところであるです。
まず、この事件の首謀者は大富豪であることです。つまり身代金は必要なく、彼はゲーム感覚で事件を起こしたのです。なぜか。簡単に言ってしまうと「面白いことをしたかったから」だそうです。おそらくこの人は物的な欲望は満たしているはずです。彼は満たされすぎた故にこの事件を起こそうと考えたのなら、「豊かすぎる」のもどうなのだろうか…と私は考えてしまいました。

そして、彼は完全犯罪をもくろむものの、ひょんなことから首謀者は逮捕されてしまいます。この展開が実に意外でした。本当に、本当に小さなほころびからこの首謀者の思惑が崩れてしまったわけです。人生何が起こるかわかりません。

あらすじを語るだけでも相当な量になってしまうので、このあたりでとめておきます。すみません…!

私は西村京太郎さんの本を読むのは初めてだったのですが、ハラハラドキドキしながら読むことができました。またこの本は鉄道を題材にしていますが、鉄道の知識がなくても(自分もそうだったのですが)、全く問題なく読めます。
なにより、「そんな展開があり得るのか!」と、いい意味で期待を裏切られました。読者を飽きさせない展開も見どころです。

ぜひ読んでみてください!