2015年9月30日水曜日

ブログ書評第33回『「世界征服」は可能か?』


こんにちは。原です。
今回は私が書評を担当します。

今回私が紹介する本は『「世界征服」は可能か?』です。




漫画やアニメ、また特撮ヒーローの世界では、世界征服を目論む組織や人物が登場することがあります。例えば、仮面ライダーで登場するショッカーが世界征服を目論む代表的な組織でしょう。デスノートに登場する夜神月もデスノートを使って世界征服を行おうとしている人物であると言えると思います。

本書では「世界征服が実際に可能なのか」「どのように世界征服を達成すればよいか」「世界征服のメリット・デメリット」「そもそも、世界征服とは何を指すのか」といったことを様々な作品や歴史上の世界征服の野望を持つ組織・人物を例にとり、現実性という視点から検討しています。

世界征服を考察していくうちに、議論は、支配とはなにか、階級・階層とは何か、どのように組織を運営すべきかなどの考察に話が広がり、このあたりの議論は読んでいて非常に面白いです。

題名の「世界征服は可能か?」に対する著者の答えはここでは書かないことにします。気になる方は是非ご一読ください。

世界征服に興味のある方はもちろん、興味のない方にもおすすめの一冊です。

2015年9月19日土曜日

9/16 ビブリオバトルレポート@長野市城山公民館

はじめまして、昨年からビブリオバトル信州に参加させていただいている原と申します。
今回は私が9月16日に長野市城山公民館で行われたビブリオバトルの模様をレポートさせていただきます。
城山公民館でビブリオバトルが行われるのは今回が初めてで、城山公民館で定期的に行われている「城山館」というイベントの一環として今回ビブリオバトルが開催されました。会場には私を含めた参加者が7名、そのうちの4名の方が発表してくださいました。

                     

①小沢正『きつねのぱんとねこのぱん』

最初の発表者はビブリオバトル初参加の黒栁さん。
絵本を読むのが好きとのことで、絵本を紹介してくださいました。
きつねのパン屋が最近できたねこのパン屋のパンがとてもおいしいという噂を聞き、食べに行くと本当においしい。苦しまぎれに「ここよりきつねのパン屋の方がおいしい」と客を装いねこのパン屋にさりげなく伝える。すると、今度がねこのパン屋がきつねのパン屋に客を装いパンを食べにやってきて......というあらすじだそうです。黒栁さんは今回が初めてとは思えないほどあらすじを語るのが上手でした。
藤枝リュウジさんのイラストが素敵で、 大人から子どもまで楽しめる絵本だそうです。

                     

②鷲田清一『京都の平熱――哲学者の都市案内』

二番手は図書館職員の方による紹介。
この本は京都で生まれ育った哲学者鷲田清一が、路線バスにそって京都の地元を振り返るという内容だそうです。といっても著者の「神社は歩き疲れたときに立ち寄って休む場所であって、金を払っていく場所ではない」という考えから、神社等の京都の有名観光地を巡るわけではないそうで、読むと観光地の京都と違う新しい京都が発見できるとのことでした。

                    

③マガジンハウス『Tarzan No.617』

三番手は城山公民館職員の長谷川さんによる発表。
長谷川さんが紹介したのは雑誌でした。 曰く、何事も長続きしない性格故にやろうと思った筋トレも長続きしなかったときに読んだ雑誌だそうです。この号では筋トレ特集が組まれていて、3日に1回3つのエクササイズだけで良いという記事を読んで、これならできそうだと思ったとか。それから、今まで2年以上トレーニングを続けることができているそうです。この号は二年以上前のものなので、もう販売していないそうですが図書館にバックナンバーがあるそうなので気になった方は探してみてはいかがでしょうか。

                    

④新井紀子『コンピュータが仕事を奪う』

最後を務めたのは私、原です。
産業革命以後、肉体労働が機械に代替されるということが行われてきましたが、近年では人工知能の発達によって頭脳労働も機械が代替するようになりつつあります。では、「機械が代替可能な頭脳労働とそうでない頭脳労働は何か?」ということをコンピュータをよく知ることで考えていこうというのが本書の内容です。今のところ、機械で代替不可能と思われる知的活動は「発想すること」、「問題の発見」、「物事を抽象化すること」あたりだと私は思います。いずれもトレーニング方法が確立されておらずこれらの能力を鍛えることは容易ではないという共通点がありますね。これらの能力は地道に鍛えるしかないということかもしれません。

                    

以上4名による発表で見事チャンプ本に輝いたのは...

小沢正『きつねのぱんとねこのぱん』でした!

終始和やかなムードでバトルは進み、バトル終了後はちょっとしたお茶会が開かれ本の内容についてなどの歓談を楽しみました。

以上、原によるビブリオバトルレポートでした。

ブログ書評第32回『新釈 走れメロス 他四篇』

夏休みの宿題第三弾、9月のブログ書評担当、近藤です。
前半のうちに書くつもりだったのですが、気づけば9月も折り返して、あと10日ほどしかないんですね…
信州は既に夏も終わりと言った感じで、秋の音がもう軒先から聞こえてくるようです。
(夜は寒いくらいなので、もはや冬なのでは……などと思ったり)

今回紹介するのは森見登美彦さんの『新釈 走れメロス 他四篇』です。
ざっくり行ってしまえば、有名な短編を森見ワールドでリメイクした作品。
収録作は『山月記』『藪の中』『走れメロス』『桜の森の満開の下』『百物語』の5つです。




その中でも、タイトルにもある森見版『走れメロス』を少し紹介しましょう。

主人公の名は芽野史郎、某京都の大学に所属する青年です。
ある日彼は、大学内の暴君、図書館警察長官に、反抗し捕えられてしまいます。
捕まった彼は、「大学祭のステージの上で、ピンクのブリーフ一丁で踊る」刑に処されることに。
そこでやはり彼は、姉の結婚式に出なければならないから1日の猶予をくれと言うわけです。
その後、身代わりとして連れてこられた芽野の親友、芹名は長官に向かってこう言い放ちます。

「彼は戻らんぜ」

そう、芽野史郎は、「走れメロス」の主人公としてあるまじきまでに、捻くれた性格の持ち主だったのです……
当然それに対して長官は激怒します(笑)
こうして、親友を見捨てるための、芽野の逃走劇が始まることになります。

とまあ、どれもこんな感じで一癖も二癖もある大学生を主人公として綴られています。
総じて森見さんの描く大学生はあくの強いキャラクタが多く、とてもコミカルに描かれているので、この作品でもそれが魅力の一つかなと思います。
あとは情景描写から作者の京都愛が溢れ出ていて、読んでいるときの没入感は無類です。

当然、原典の作品を踏襲した設定なので、読んだことがあればクスりとできるのではないかと思います。
また、他の森見作品との緩いつながりもあるので、それらを知っていればより楽しめること間違いなしです!
もちろん、森見作品に触れたこと無い人にもお勧めしたい一冊です。

2015年9月4日金曜日

9月に開催されるビブリオバトルのご案内

みなさんこんにちは!ビブリオバトル信州です。

8月から9月になると、一気に「秋になったな」という感じがします。
秋と言えば、食欲の秋、芸術の秋、そして読書の秋です。

今回は9月に長野県内で開催されるビブリオバトルの情報をお届けします!

                    

【ビブリオバトル@安曇野市中央図書館】
日時:9月12日(土) 午後6時半~8時
場所:中央図書館ブラウジングコーナー
※観戦には事前の申し込みが必要です。
詳しい申し込み方法は安曇野市のこちらのページをご覧ください。

                    

図書館フェスタの一イベントとして開催されるようです。
すでにバトラーの応募は締め切られているようですが、観戦者をまだまだ募集中とのことです。

                    

【ビブリオバトル@長野市城山公民館】
日にち:9月16日(水)
場所:長野市城山公民館(〒380-0852 長野市大字長野東之門町2462番地
詳しい申し込み方法は長野市のこちらのページをご覧ください。

                    

長野市の城山公民館「城山館」の一コーナーとして、ビブリオバトルが導入されるようです。
記念すべき第1回目のバトル、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか?
ビブリオバトル信州のメンバーも1人参加させていただきます!

                    

【ビブリオバトル@信大中央図書館】
日時:9月17日(木) 午後2時~3時
場所:中央図書館1F 自由学習スペース(図書館入口右側)

                    

中央図書館では第4回目の開催となります。
前回よりもたくさん人が来てくれるといいなあ!

                    

【ビブリオバトル in まつもと一箱古本市】
日時:9月21日(月・祝) 午後1時から
場所:松本城大手門枡形後広場
まつもと一箱古本市公式ブログはこちら

                    

ツイッターでは既にお知らせしていますが、
この度初開催となるまつもと一箱古本市の中のイベントとしてビブリオバトルを実施させていただきます。
現在バトラーを絶賛募集中です。
「自分も本を紹介したい!」と考えている方は、以下のページをお読みになった上でお申し込みください。
ビブリオバトルinまつもと一箱古本市 バトラー募集要綱

学外での主催は今年度初となります。
古本市にふらりと訪れた際には、ぜひビブリオバトルも観戦していってください!

読書の秋だけれど、本を読むだけでは満足できない…。
そう考えている方はぜひビブリオバトルにお越しください。
いつもとはちょっぴり違う本との関わり方を体験できますよ!

2015年9月2日水曜日

8/26 ビブリオバトルレポート@信大中央図書館

ビブリオバトル信州の村上です。
お盆の帰省から帰った直後から、松本市も一気に秋めいてきました。
夜には秋の虫がとても賑やかで、いつかの暑さが懐かしく感じられます。

さて、今回は8月26日に行われた中央図書館でのバトルの様子をレポートでお届けです。
学生のみなさんは帰省していて松本にいないのか、参加者4人の小規模なバトルとなりましたが、
それはそれでワークショップ形式のような楽しいバトルをすることができましたよ~。

                    

① リバネス出版編集部 『宇宙でくらそう』

トップバッターを務めてくれたのは今回ビブリオバトル初参加の浅谷くん。
「みなさん、宇宙のことを考えて眠れなくなったことはありませんか?」という問いかけから紹介をスタートしました。
私もこの経験はありますね。「もし宇宙に端があるとしたらその外側ってどうなってるんだろう…?」こんなことを考えたら眠れなくなってしまいますね。
この本はそんな宇宙に関するコラムの寄せ集めになっています。
タイトルが『宇宙でくらそう』ですから、実際に宇宙で暮らすとしたらどうなるかも書かれているようです。
お話を聞くと、重力がないと人は今の生活のほとんどが維持できないのではないかと思いました。
歯を磨く事すら重力がないと満足にできず、宇宙飛行士は歯磨きをガムを噛むことで代用しているんだとか。
宇宙に関するいろいろな小話にとても興味を引かれました。

                    

② 米澤穂信 『儚い羊たちの祝宴』

2番手はわたくし村上による紹介です。
このバトルの前日は夜がとても冷えて毛布を被って寝ましたが、まだ8月なので夏です!
夏と言ったら背筋にゾッとくる怖いものを、と思いこの本をチョイスしました。
みなさんは「怖い」という感情が何から生まれるか考えたことがあるでしょうか。
私は「わからない」「理解不能」といった「未知」から生まれるものと考えています。
この本の登場人物の何人かは、読者の感情移入を拒みます。
「どうしてこの人物はこんなことをしたのか?わからない…。」そんな思いが恐怖を生み、背筋を冷やりとさせられます。
夏はやっぱりゾクゾクくるものを、と考えている方にはぜひお勧めです。

                    

③ 宮部みゆき 『スナーク狩り』

最後はサークルメンバー近藤さんによる紹介。
紹介してくれたのは『スナーク狩り』、このタイトルはルイス・キャロルの作品をもとにしているようです。
黒いケースに散弾銃を潜ませ、結婚式場に現れた女、関沼慶子。
そんな彼女の銃を、とある目的を果たすために奪おうとする釣具店勤務の織口邦男。
そして織口の目的に気づき、それを阻止しようとする佐倉修治。
彼ら登場人物の運命が金沢に収束していきます。
トップバッターを務めた浅谷くんから「自分でこの本にタイトルをつけるとしたら?」という面白い質問があり、近藤さんは「『鏡』という一文字を入れた何か」とこれまたおもしろい答えをしてくれました。
私の中に強く残った印象が表紙にも描かれている「銃」だったためこれは意外でした。
「鏡」がこの物語とどうつながってくるのか、とても気になります。

                    

以上、3人による発表でみごとチャンプ本に選ばれたのは…。














宮部みゆき 『スナーク狩り』 でした!
この本は先日市立飯山図書館のリサイクル市で10円で買ったとのことでしたが、まさに掘り出し物を見つけたって感じでうらやましいです!

                    

参加者4人の小さなバトルでしたが、規模が小さいとその後の会話が弾みます。
バトルの後に観戦者・発表者どうしで語り合うのもとても楽しいですよ!

以上、村上によるビブリオバトルレポートでした。