2013年10月4日金曜日

ブログ書評 第18回『七回死んだ男』

こんにちは。N.Tです!さっそく書評を書いていきたいところですが、この記事の前にビブリオバトル首都決戦に先駆けて行われる地区決戦の情報があります。11月3日の14:00から信州大学にて予選会の勝者によって行われます地区決戦は観戦無料・予約不要です!ぜひお時間のある方は足をお運びください~。

さて、今回のブログ書評についてお話しさせていただきます。紹介する本は西澤保彦さんの『七回死んだ男』です!
この本は一風変わったミステリー小説となっています。タイトルを聞いただけでは、ん?となってしまいますが、とても奥の深い小説だと思います。これからこの小説を面白くしている根幹となっている設定について簡単に説明していきたいと思います。
まずこの本の主人公である通称キュータローという高校生はほかの人にはない特別な”体質”があります。それは時間を遡れるというものです。しかしこの時間を遡れるという体質にはいくつかの制約があります。1つ目に戻れる時間は1日分だけ、ちょうど24時間まえにしか遡れないことがあります。2つ目に自分がいつ時間を遡るかをコントロールできないことがあります。いきなり何の前触れもなく、本人の意思とは関係なしに時間が1日分戻ってしまいます。3つめが、時間を遡る体質が発現してしまうと9回それが繰り返されてしまうことがあります。つまり1度時間を遡ってしまうと9回同じ日を過ごさなければいけないのです。主人公のキュータローはこの自分の体質を反復落とし穴と呼んでいます。自分の意思とは関係なく、同じ日を9回反復してしまうという変わった体質を持つ主人公の設定によって、この小説にほかの小説にはない面白さを生み出しています。少し難しいかもしれませんが、意外と単純な仕掛けです。

先ほども少しタイトルについて触れましたが、七回死んでしまうのは主人公のおじいちゃんです。ある日おじいちゃんが何者かに殺されてしまうことから物語は始まります。このおじいちゃんが殺されたその日に、主人公の反復落とし穴が発動するのです。この体質を利用して主人公は犯人捜しをするという物語です。

この小説は殺人事件をテーマにしたミステリー小説なのですが、この主人公の設定や、文中の表現によってシリアスな雰囲気を感じずにスラスラ読むことができます。変わった設定ですが、最終的にはしっかりと論理的に物語が終わり、突拍子もない設定なので突拍子もない終わり方をするのでは?という心配は無用です。ミステリー小説が苦手な方でも読みやすく、楽しめる本かなと思います。

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